現在、関節リウマチの患者数は、国内で80万人ほどいます
治療法や新薬の開発で、関節リウマチの進行を抑えることができたり、
血液検査の数値が正常値に戻る方も多くなってきたようです
しかしながら、痛みをはじめ、日常生活に支障の出る症状に悩む人も多く、
鍼灸で痛みの緩和・免疫力の向上ができないかと、鍼灸院を頼ってくれるのも現実です
今回は、「関節リウマチ・関節炎」を記事にしていきます
どうぞ皆さまご参考にしてください☺︎
目次
日頃の生活で気をつけること
①体を冷やしすぎないこと(特にリウマチ症状がある関節)
②強い負荷をかけ過ぎない
鍼灸治療の方針について
①刺絡療法(しらくりょうほう)
②冷えをとる鍼灸治療
③関節への局所治療
関節リウマチ・関節炎とは
女性に多く、全身の何処にでもおこる、慢性の炎症性疾患です
特に、「関節」とその周囲の軟部組織の痛みを伴います、そして、寛解と炎症を繰り返す病気です
男性に比べ、女性は4倍、関節リウマチになりやすいと言われております
関節リウマチの関節症状について
自己免疫疾患(※1)のひとつである、「関節リウマチ」は、関節内の滑膜(かつまく)の炎症から始まり、関節の痛み、腫れ、熱感があります
進行すると、軟骨や骨が破壊され、関節は変形していき、手指の関節は曲がったまま(※2)になることがあります
初発の違和感・症状は、「起床時の手指のこわばり」です
朝起きてから数時間は、指のこわばりを感じ、スムーズに動かすことができません
※1 自己免疫疾患とは
体を守る免疫機能が、正常な細胞などを間違って攻撃し、自分で自分の体を壊していく病気のこと
代表的な自己免疫疾患には、関節リウマチ(RA)、全身エリテマトーデス(SLE)、シェグレーン症候群、ベーチェット病などがあります
※2 手指の関節が曲がった状態を、スワンネック変形・ボタンホール変形・ハンマー状足趾といいます
日頃の生活で気をつけること
①体を冷やしすぎないこと(特にリウマチ症状がある関節)
冷やさないことが大切です
冷え性の方・体が冷えている方・常に関節が冷えている方は、
関節内の代謝が落ち、こわばり症状が出やすくなります
強い炎症期を除いては、お風呂などで手指・関節を充分に温め
関節の自動運動(自分でグーパーグーパー)を行い、負担のかからない程度に関節を動かすことが大切です
②強い負荷をかけ過ぎない
関節リウマチの症状を呈している関節(手指でも足関節でも肘関節でも)に
強いストレス・強い負担がかかると、炎症が起こり、強い痛みも伴いやすいです
強い握力が必要な作業(何かをずっと握る動作)、長距離走(足首に負担がかかり、足関節が腫れる)
などに気をつけることです
リウマチの患者さんが鍼灸を頼る理由
関節リウマチの進行を抑制する治療や薬を服用することで、
血液検査も正常値に安定し
病院からは「これ以外の治療法はありません」と、経過観察になっている方が多くいます
しかし残念ながら
そのような方でも、未だ日常生活に支障が出てしまったり、手指のこわばり・炎症期の強い痛みに悩まされ、
他に治療方法はないものかと、鍼灸を頼ってくれるのが現実でもあります
鍼灸治療時には
血液検査の数値を拝見させてもらうと、数値はとても安定しているのですが、関節を診ると腫れていたり、
生活のご苦労がとても伺えます・・
鍼灸治療の方針について
こわばりや痛みの出ている関節局所への、針や灸を使った治療はもちろん施しますが、
自己免疫疾患でもある関節リウマチは
なんと言っても「自己免疫」を上げていく治療を基盤に、鍼灸の治療方針をたてます
東洋医学独特の世界観である、
陰陽・虚実・寒熱・五行という概念を使いますが
特に「関節リウマチ」は体の芯にこもっている「内熱(ないねつ)」です
この内熱が悪さをすることで、関節を炎症させ、関節を変形していくことと捉え、
内熱を取り除く治療を行います
①刺絡療法(しらくりょうほう)
鍼灸の治療方針は、その方に応じて変わりますが、
「内熱」を取る治療でよく用いるのが「刺絡療法(しらくりょうほう)」です
私が行う刺絡療法は、井穴刺絡(せいけつしらく)と言われ、指先の爪の際から血を抜いて、
熱をたっぷり含んだ汚れた血液を絞り出す方法です
この井穴刺絡は、風邪の引き始めやヒステリー球などの症状の時も使います
一般的に分かりやすい言葉を使うと、井穴刺絡をすると自律神経が整うと伝えると分かりやすいかと思います
内熱を含んだ血液は、ドス黒く濁っています
何十回と血を絞り出すことで、綺麗な血になってきます
②冷えをとる鍼灸治療
関節リウマチや関節炎を患っている方は
例外なく体のどこかに「冷え」を抱えています
もっと詳しくお伝えすると、
1つの個体である「体」は、
「内熱」を持ちながらも、対極の「冷え」を持っています
①で説明した井穴刺絡で内熱を取りながら
自己免疫を上げるための「冷え」を解消するための鍼灸治療を施します
特に中心になる治療法が「お灸」です
脈診や腹診、舌診によって体質分類をおこない、
ご自身に適したツボにお灸を据えたり
腹部や下腹部に冷えがあるようなら「箱灸」というのをお腹に乗せて
芯から温めていきます
また関節リウマチの治療では、ご自宅でも毎日お灸を据えてもらいます
鍼灸治療さえ受けていれば良くなる、そんな気持ちでは症状は楽になりません
③関節への局所治療
①で「内熱」をとり、②で「冷え」をとり
併せて行うのが、炎症や痛みを起こしている関節への直接的な治療です
治療の中心となるのは「透熱灸(とうねつきゅう)」です
モグサを円錐形に小さく捻り、関節に直接乗せて燃やしていきます
関節の表面には紫雲膏(しうんこう)という漢方の軟膏を塗ります
お灸は何回・何十回と繰り返していきます
多少熱さを感じますが、関節内に熱がしっかり届き、代謝を促すために施灸します
ご自宅では、一般の方でも簡易的に使える間接灸を関節に据えてもらいます
以上の治療を数ヶ月単位でおこないます
残念ながら「間接リウマチ・関節炎」は完治するというのは、
西洋医学・東洋医学、どちらから見ても言い切ることができません
しかし、東洋医学の治療を継続することで、
痛みのコントロールができ、こわばりが減ることで
日常生活が飛躍的に明るくなるのは見えます
また、症状が寛解されることで、薬の量も減る可能性があります
経済的な手助けもでき、何よりも肉体的・精神的負担も随分と減るでしょう
どうぞ今回の記事を読まれて、ご相談したいことがありましたら
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